新型コロナウイルスと現場の危機管理広報〈3〉

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長かった「非常事態」が解け、久しぶりに「外出」の開放感を噛みしめている人も多いかと思います。感染の恐怖にさいなまれた日々から3カ月以上が経ち、季節は新緑の春から初夏になりました。世界では依然、新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行が続いていますが、日本では800人以上の方々の命が奪われたものの大爆発は当面、回避されたように感じます。とはいっても苦しさの中、お亡くなりになられた方々の悔しさに思いを馳せると、感染症という巨大な「クライシス」に立ち向かうことの難しさや多くの反省点も浮かび上がってきます。

日本が大爆発しなかった原因は「不明」としかいいようがありません。島国という特性から隔離がしやすいという側面はありますが、流行地からの人の移動を遮断した時期が特に早かったわけではありません。否、遅かったといった方が正しい政治判断でした。その後のPCR検査を巡っても検査数が抑制された結果、確定診断が遅れるといった弊害が指摘されました。毎日のニュースを見ておられれば「??」と感じることが多かったのではないかと思います。

クライシスマネジメントの「教科書」では「嘘を言わない」「誠実に対応」「正確な事実を伝える」といったことが挙げられ、コンサルタントの講義でもこうしたポイントを指摘されることが多いと思います。しかしこの3カ月間の政府の対応がこれに沿っていたでしょうか。もしも企業や組織が同じような対応をしたらどうなるのでしょうか、さらには同じ対応は本当に間違いなのでしょうか。「総論」ではなく「各論」で考えてみたいと思います。

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